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君はまだ残業しているのか

2012/09/09 10:56

吉越氏によれば、ここでいう「君」というのは、残業を前提とした働き方を変えない日本の経営者のことを指しているという。そういった意味では、本書のタイトルは正しくは「君はまだ社員に残業をさせているのか」となり、後述する残業の原因の一つである日本の経営者・管理者の責任の欠如に対して訴えかけている一冊ともいえる。

それにしても日本は残業天国だ。本書の中にも数字として記載があったが、内閣府が発表した「平成18年度版 国民生活白書」によると、日本で週50時間以上働いている労働者の割合は28.1%。これはフランス(5.7%)ドイツ(5.3%)など、ほかの欧米先進国と比べても極端に多い。なぜか・・・。本書を元に整理してみると、それは主に1. 日本人独特の労働観、2. 経営者・管理者の責任および意識の欠如、3. 周りの目が気になる・帰りにくい、4. 非効率、といったことに集約される。

1. 日本人独特の労働観
(海外では仕事をリタイアした人にかける言葉として「Congratulations !(おめでとう!)」であることに対して)ところが、それが日本だとこうなります。
「まだお若いのにもったいない」「まだまだ働けるんじゃないですか」・・・
私も社長を退いたとき、祝福よりもこういった「元気なうちは仕事をした方がいい」というような、引退を悲しむようなことを言われました。
吉越浩一郎君はまだ残業しているのか』PHP文庫、233ページ(特別対談:吉越浩一郎 X 佐々木常夫))


佐々木:経営者に問題があるのは確かなのですが、残業がなくならない理由はほかにもあります。その一つが、日本人の価値観です。休日出勤している人や深夜まで残業している人に対して、「仕事ができないやつだ」と思う人よりも、「あいつはがんばっているな」と思う人のほうが多いのではないでしょうか。決して経営者だけが、そうした人をほめる特別な存在なわけではない。
吉越浩一郎君はまだ残業しているのか』PHP文庫、244ページ(特別対談:吉越浩一郎 X 佐々木常夫))

基本的に働きつづけることが美徳とされるのだ。働きつづけること自体が悪いと言っているのではない。その人の生活の中にそれしかないこと、あるいはバランスを欠くことが問題になっているのだ。

2. 経営者・管理者の責任および意識の欠如
残業があるかどうかは、仕事の内容ではなく組織の風土による、というのが、いろいろな環境で働いてきた私の実感です。
吉越浩一郎君はまだ残業しているのか』PHP文庫、111ページ)


私が、残業をなくすべきだといっても、多くの経営者は、いまだにそのことに真剣に取り組もうとしません。それどころか、「日本の産業は労働者の長時間労働で支えられているのだから、残業をなくせば国力が下がる」と、まるで残業をよいことのようにいう人も少なくないのです。
吉越浩一郎君はまだ残業しているのか』PHP文庫、215ページ)


佐々木:多くの経営者は、日本企業の競争力の源泉は長時間労働にあると思っています。たとえば、日曜日に会社に電話をしたらA君が出た。すると、「いやあ彼はすごいね。日曜日にも出社して、よくがんばっている」と次の日にはほめたりするわけです。冗談じゃない。「なんで日曜日に出ているんだ!」と私ならいいますが、ほめるのが普通の経営者なのです。
(吉越浩一郎『君はまだ残業しているのか』PHP文庫、242ページ(特別対談:吉越浩一郎 X 佐々木常夫))


吉越:日本の多くの上司は、自らがダラダラと残業をしている。そんな上司を見て育ちますから、若い人たちもあっという間に残業を前提にした仕事の進め方になってしまいます。
(吉越浩一郎『君はまだ残業しているのか』PHP文庫、260ページ(特別対談:吉越浩一郎 X 佐々木常夫))


佐々木:仕事のやり方は自分で見つけたほうが身になるとか、仕事を通して成長していけとか、部下に教えることが出来ない上司が言い訳をしているだけで、効率のよい仕事の仕方を本来は教えるべきなのです。
(吉越浩一郎『君はまだ残業しているのか』PHP文庫、261ページ(特別対談:吉越浩一郎 X 佐々木常夫))


3. 周りの目が気になる・帰りにくい
佐々木:「家に帰ってやりたいことがあり、仕事自体は定時に終わらせることができるのですが帰りにくい。どうしたらいいですか?」「帰りにくいのならば帰らなければいい。家でやりたいことがあるのならば帰ればいい。それは、あなたが決めることです。あなたの人生でしょう。」
(吉越浩一郎『君はまだ残業しているのか』PHP文庫、265ページ(特別対談:吉越浩一郎 X 佐々木常夫))

吉越:「残業をしなくても仕事が回る仕組みはできたのですが、残業はやめられないでいます。というのは、上司の目よりも、周りの目が気になりまして」
(吉越浩一郎『君はまだ残業しているのか』PHP文庫、246ページ(特別対談:吉越浩一郎 X 佐々木常夫))


結局はここなのだ。多くの理由は周りを気にする国民性にある。ここでの意識改革ができれば、残業を減らす方策など不要になるのだが・・・。

4. 非効率
社員に残業を強いて長時間働かせれば、その分余計に仕事ができるのはあたりまえ、そんなものは経営手腕でもなんでもありません。優れた経営者であるならば、残業をしなくても業績を伸ばせるやり方を考えるはずなのです。
(吉越浩一郎『君はまだ残業しているのか』PHP文庫、216ページ)


私は日本の企業での勤務を振り出しに、数社の海外企業の日本の現地法人で仕事をしてきて久しいが、日本社会全体が、あえて余計な仕事を作りたがる風潮があるように思えてならない。本書の中ほどでは、残業を減らすための仕事術、すなわち非効率性→効率性を追求する仕事術が紹介されているが、「〜術」に依存するのではなく、あくまでも基本は社員、そして経営者・管理者の意識改革が基本であると思う。

残業がもたらす社会悪
日本人は、毎日遅くまで働いて会社は富み、国は豊かになっても、個人は残業ばかりで疲弊してしまっている。日本人はもっと休ませろ、と国や政府や会社に対して怒ってしかるべきなのです。
(吉越浩一郎『君はまだ残業しているのか』PHP文庫、218ページ)

国はこの事実をもっと深刻に受け止め、早急に対策を立てるべきではないでしょうか。具体的には、保育園の数を増やすなど、子どもを持つ女性が働きやすくなるような環境を整えるとともに、法律を改正して企業が残業をしにくくする。そして、男性も女性も、とにかく早く仕事を終えて家に帰れるようにすることが一番です。
(吉越浩一郎『君はまだ残業しているのか』PHP文庫、221ページ)

吉越:残業続きで疲弊している人からは、新しいアイデアも斬新な企画も生まれません。
(吉越浩一郎『君はまだ残業しているのか』PHP文庫、249ページ(特別対談:吉越浩一郎 X 佐々木常夫))


私の家の近くにも日本有数の大手電子機器メーカーのとある事業所がある。毎日朝晩、通勤する人たちの波に出くわすが、毎晩夜遅くまで仕事をし帰宅時間は遅くなり、へたをすると会社の帰りに一杯、なんてこともありつつ、家路につく頃には日付が変わっている頃になっている筈だ。働いている方々には申し訳ないが、そんな生活を送りながら、いつ家族とのコミュニケーションがとれるのだろうか。いつ自分の時間を確保できるのだろうか。そんな生活の日々を送りながら、どうしてクリエイティブな製品を世に送り出すことができるのだろうか、などとといつも思っている。



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