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大企業はなぜ突然つぶれるのか - 生き残るための「複雑系思考法」

2012/11/19 17:03

バブル崩壊によって、日本経済は低成長の時代に突入し、「日本型経営」は行き詰まりを見せ始めた。その一方で、グーグルやアップル、フェイスブックといった新興企業が勢いを見せているのも、同じ今という時代だ。
そんな時代を読み解くキーワードとして、本書では「複雑系」を取り上げてる。

■ 複雑系とは
昨今の経済活動の中には、さまざまな事象が複雑に絡み合っていることが多く、かねてからの垂直統合型モデルとはまったく別のところで経済活動がとり行われていることが多い。従来の業種、業界を取り囲んでいた境界が次第に薄れていくどころか、異業種間における提携や協業もさまざまなところで見られるようになった。ガソリンスタンドとコンビ二の融合、書店とコーヒーショップの融合などは、身近なところで見られるそのわかりやすい例であろう。さらには、物事が予測不可能に動くことも含めて考えることが「複雑系」とされる。

複雑系の考え方には、分業や境目がほとんど存在しない。物理学、経済学、社会学、政治学・・・さまざまな学問の知見を用いながら、世の中の事象を説明しようとする。そうした考え方を理解しなければ、これからの世の中では生き残れない。
夏野剛大企業はなぜ突然つぶれるのか - 生き残るための「複雑系思考法」』PHPビジネス新書、43ページ)


■ 「複雑系」を理解する5つの事象
「創発」
やや聞きなれない言葉だが、Wikipediaによれば、「創発(そうはつ、英語:emergence)とは、部分の性質の単純な総和にとどまらない性質が、全体として現れることである。局所的な複数の相互作用が複雑に組織化することで、個別の要素の振る舞いからは予測できないようなシステムが構成される。」とある。 本書では、よりビジネス寄りの観点から、「他者とのかかわりのよって影響を受け、最初は思いもよらなかったかたちで新しいビジネスや技術が生み出されること」(夏野剛大企業はなぜ突然つぶれるのか - 生き残るための「複雑系思考法」』PHPビジネス新書、46ページ)とある。
英語で新興ビジネスのことを"emerging business"、新興企業のことを"emerging company"などというのは、英語のこの"emergence"とも関連する。 三人寄れば文殊の知恵、的に生み出される活動でもある。
インターネットの世界では、複数の異なる提供元の技術やコンテンツを複合させて新しいサービスを作る「マッシュアップ」も、ある意味「創発」の例と考えられるのではないだろうか。

「自己組織化」
本書では「それぞれの要素が独立して最適行動をとっている集合体が、あるきっかけによって、あたかも統率されているかのような方向性や秩序をもつようになること。」(夏野剛大企業はなぜ突然つぶれるのか - 生き残るための「複雑系思考法」』PHPビジネス新書、49ページ)とあり、そのわかりやすい例として雁の群れの集まり方と飛び方が紹介されているが、ネット上ではグーグル検索の例に見られるように、人気のあるページは上位に表示され、ますますアクセスが集まる、といった現象がある。
また、ネットと実社会のかかわりにおいては、中東で見られた政変も、多くの民衆が、ネット上での呼びかけによってベクトルが一致した例だ。

「外部経済性」
「経済行為が市場を経由せず、当事者以外にプラスの影響を与えること」
夏野剛大企業はなぜ突然つぶれるのか - 生き残るための「複雑系思考法」』PHPビジネス新書、53ページ)
前述の「創発」におけるマッシュアップと関連するが、「インターネットの世界では、APIを無料で開放したりすることで、外部の開発者にビジネスを行う基盤を提供する「プラットフォーム・ビジネス」が、外部経済性を最もうまく活用しているモデルといえる。」(夏野剛大企業はなぜ突然つぶれるのか - 生き残るための「複雑系思考法」』PHPビジネス新書、54ページ)。
「外部経済性」は「創発」をきっかけにもたらされるものとも考えることができる。

「デファクト・スタンダード」
「大多数のユーザが使うことで、事実上の標準規格になったもの」
夏野剛大企業はなぜ突然つぶれるのか - 生き残るための「複雑系思考法」』PHPビジネス新書、56ページ)。
わかりやすい例でいえば、かつてのベータマックス vs. VHS、あるいはHD DVD vs. Blu-ray Disc などがあるが、長いものには巻かれろ的な考え方。

「ポジティブ・フィードバック」
「ものごとのよい結果が、さらにそれ自身を増強させる好循環を生み出すこと」
(夏野剛『大企業はなぜ突然つぶれるのか - 生き残るための「複雑系思考法」』PHPビジネス新書、58ページ)
身近な例でいえば、行列のお店にはさらに多くの人が集まる、あるいは優秀な社員にはどんどん仕事が集まり、さらに評価が高まる、などの例がある。


本書を読んだあとに、こんな諺を思い出していた。

最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。(チャールズ・ダーウィン)

行き詰まりを見せ始めた日本型経営。旧来型の垂直統合型のモデルは崩壊しつつある。企業が生き残れるかどうかは、最強の製品やサービスを世に出すことでもなく、賢い経営者や社員を社内に抱えることでもない。時代の変化に適応できるかどうかで決まるのではないだろうか。世は常に変化し、そのスピードは今後ますます加速するのだから。

日本企業は成果よりも内部の心地よさを優先させて、自滅の道を歩んでいる。生物の進化の歴史をみても、環境の変化が起こったときは、かたちを変えられなかった個体が絶滅し、「指が伸びる」「皮膚が厚くなる」など自らの体組織を変化させた個体が生き残る。旧態依然とした経営の仕組みにこだわることは、じつはもっともハイリスクな選択なのだ。
(夏野剛『大企業はなぜ突然つぶれるのか - 生き残るための「複雑系思考法」』PHPビジネス新書、75ページ)





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