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外資系の流儀

2012/12/10 23:44

私も気がつけば仕事人生のほとんどを外資系企業で過ごしてきた人間だが、この本にはおもわずうなずいてしまいたくなるような外資系の「あるある話」が満載だ。「あるある話」を面白おかしく綴るだけではない。本書では、多数のインタビューに基づき、日本における外資系企業の位置づけ、外資系企業で働くということの意義、外資系企業で働く人たちの仕事観などについて描いている。そんな外資系企業におけるあれこれを、著者の佐藤智恵さんの独特の筆法がおもしろおかしく綴っていく。

ここでは、そんな数々の「あるある話」のいくつかと、自分の外資系企業人生と照らしあわせ、共感できる部分について取り上げてみた。

1. 外資系企業のイメージと実際

しかし実像は、「夜中の二時まで髪の毛ボサボサでエクセルと格闘しているバンカー」や、「子どもを寝かしつけた後で自宅からオンラインで仕事をする女性コンサルタント」や、「わがままな外国人上司の雑用に二十四時間体態勢で対応する秘書」もいる。日本企業以上に残業があったり、社内政治が横行していたり、福利厚生がほとんどなかったり。
佐藤智恵外資系の流儀』新潮新書、29ページ)

外資系企業の仕事スタイルというと、どこか洗練されたイメージで描写されることが多いかもしれないが、実際のところ舞台裏では皆たいへんな苦労を強いられている。ここに挙げられている例はそれらをよく象徴している。とくに大きな提案書の提出の前などは連日深夜までの残業、終電後のタクシーでの帰宅、土日祝もエクセルやパワーポイントに没頭などはあたりまえだった。これには、「『できる限り少ない正社員数でまわす』というのが外資系の基本(佐藤智恵外資系の流儀』新潮新書、44ページ)」という宿命的なことに起因しているところもある。

2. 極限状態で長時間働く

なぜなら、残業しないで結果を出している人は、自宅で猛烈に働いているからだ。
なのだから、当然、就業時間に仕事が終わるわけがない。他人よりも成果をあげて昇進しようと思うと、長時間働くしかないのが現状だ。しかも、多くの日本法人では、「裁量時間制」が導入されていてフレキシブルな働き方ができる反面、成果を上げるために働きたい人は、いくらでも働けるシステムになっている。ワーク・ライフ・バランスとは、「プライベートな事情で休んだり、帰ったり、途中で抜け出したりしてもいいけれど、その分、仕事は家でやってね」という施策だと思ったほうがいいかもしれない。
実際、外資系企業の日本法人で成功している人たちは、「ある時期」猛烈に働いている。
佐藤智恵外資系の流儀』新潮新書、97ページ)

佐藤さんも書かれているが、外資系企業にいると、多かれ少なかれ「個人事業主」に近いかたちで働くことになる。「外資系企業に就職する、転職する、というのは、「個人」として主体的に生きることを決断することだ。どの会社に行っても、会社は何もしてくれないし、守ってもくれない。上司に雇われた個人事業主として生きるのである。」(佐藤智恵外資系の流儀』新潮新書、214ページ) 「個人事業主」的に働くということは、働こうと思えばいくらでも働けるということだ。勤務時間は固定されず、出勤・退社の時間は自由に決められ、実働時間の管理もされない裁量時間制なのだ。が、仕事はちゃんとやってね、結果はちゃんと出してね、が当然のこととして期待されるところだ。そこがまさに個人として主体的に生きることを求められるということだ。

3. 品格のあるメールを書く

しかし、問題はだれもその書き方を教えてくれないこと。だから外資系の方々は、皆、外国人幹部がよく使う表現をひたすらマネするのである。
佐藤智恵外資系の流儀』新潮新書、103ページ)
特にアメリカ人は、英語の書き方でその人の人格や教育レベルを判断する傾向があるので、下手な英語でメールを送ると完全に無視される。
(佐藤智恵『外資系の流儀』新潮新書、103ページ)
外資系企業では、メール、特に英文メールは重要な社内政治ツールで、証拠として残るもの。足をすくわれないためにも、送信前に二、三回見直すぐらいの注意は必要だ。
(佐藤智恵『外資系の流儀』新潮新書、105ページ)

これは英語に限った話ではなく、日本語でも外国語でも、品格のあるメールが書ける、ということはビジネスの中ではとても大切なこと。あと、どこの国の言葉にも、いわゆる「通りがいい」表現というものが存在する。これは教科書や参考書から習得するようなものではなく、生きたやりとりの中から体得し身につけていくものだ。私もアメリカ人が書くメールの中で、「これは」という表現や言い回しをいくつか参考にして自分のノートに書き留め、それらを時々見返しては、次に使える機会をうかがっていた。また、メール送信前には、必ず何度も口にして見直すようにしていた。いざ音に(言葉に)してみると、おかしな箇所が見つかったり、必ずしも適切な文章になっていないことに気づくことが往々にしてある。

4. 空港のラウンジで忙しがってみる

一体、何がそんなに忙しいのか?
画面をのぞいてみると(失礼!)、意外なことに真剣に仕事をしている人は少ない。ゲームだったり、ニュースサイトだったり、アウトルックのアドレス帳を整理している人も。
(中略)
な~んだ。仕事なんかしていないじゃないか!
空港のラウンジという世界のビジネスパーソンが集まる場所で、「忙しいオレ」を演じているだけのようにも見える。
外国人は、ヒマに見られることを極端に恐れる。(佐藤智恵『外資系の流儀』新潮新書、149ページ)

これは素直に、「あるある!」と笑いたい!  LOL!

5. 日本は特殊

金儲けよりも日本の文化や品格を守っていくことの方が大事だと思っている人は、外資系企業はつらいかもしれない。なぜならグルーバル企業では、個別の国の文化は「コストがかかる非効率なもの」でしかないからだ。できれば文化など、グローバル化して均一になったほうが効率的だと考える。
(佐藤智恵『外資系の流儀』新潮新書、212ページ)

これは業種、業界、あるいはその企業の市場への参入の姿勢によっても異なるところだが、上述の佐藤さんの記述にもあるように、外資系企業においてはビジネス上での効率化を目指すためには、「グローバル・スタンダードの導入推進」「ローカライズおよびそのためにかかるコストは極力避け」が基本だろう。そういった意味では、日本という市場は、本国から見れば、世界の中、いや、アジアの中においても、言語とそれに伴う様々なローカライズに関わる問題、品質に対する要求度の高さなど、見えざる参入障壁が異様に高い国、と映るかもしれない。

まとめ:外資系企業で働くということ
この記事で挙げてきたいように、睡眠時間が数時間でも極限状態で働き続けられる体力を備え、羞恥心などかなぐり捨てて人前で自己アピールできるマインドを有し、ほとんど個人事業主状態で様々なビジネス上の課題をクリアする・・・なんとも厳しい環境で仕事をするものだ。なぜそれほどつらい思いまでして働きたいの?と思われることも無理はないだろう。しかし、そこで働くことによってしか得られない、貴重な体験 - 例えばグローバルな視野で物事を考える機会を与えられること、グローバルな仕事仲間と知り合いになり国境を越えて喜びも悲しみも分かち合えること - などが得られることも事実だ。

確かに多くの人が「外資系はつらい」という体験談を話してくれましたが、その先があったのです。「外資系はつらいよ。でもそのつらさは私のマイナスにはなってない」
(佐藤智恵『外資系の流儀』新潮新書、221ページ)

「挑戦した上での不成功者と、挑戦を避けたままの不成功者とではまったく天地のへだたりがある。挑戦した不成功者には、再挑戦者としての新しい輝きが約束されるだろうが、挑戦を避けたままでオリてしまったやつには新しい人生などはない」
(佐藤智恵『外資系の流儀』新潮新書、220ページ(岡本太郎『自分の中に毒を持て』からの引用))





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